DMM蓄電池のSOC設定に、すべての家庭に共通する「正解の%」はありません。まず確認したいのは、その数値が「電力会社からの充電を止める値」「放電を止める値」「停電に備えて残す値」のどれなのかです。

我が家は太陽光5.19kW・DMM.make蓄電池10kWhを使う4人家族。保存した設定画面では「電力系統充電停止SOC:20.0」を確認できます。この20%は系統からの充電を終える設定で、停電用の残量20%を意味するものではありません。

DMM蓄電池のSOC設定とは?3つの項目を区別する

SOCは「State of Charge」の略で、蓄電池の充電状態を割合で表します。ただし、現在の残量を示すSOCと、充放電の動きを決めるSOC設定は分けて読みます。同じ20%でも、入力する欄が違えば機器の動作が変わります。

3種類のSOC設定は系統充電の終了値・放電の下限・停電用の確保量をそれぞれ決める
同じ割合でも、設定項目が違えば動作が変わります。
設定項目 何を決めるか 間違えやすい点
電力系統充電停止SOC 電力会社からの充電を終える残量 太陽光からの充電上限や、放電の下限とは別
放電終了SOC 蓄電池の放電を終える残量 公式ガイドでは、自立運転時もこの値以下には放電しないと案内
バックアップ容量SOC 停電に備え、通常時には使わず残す容量 確保した残量すべてが停電時に使えるとは限らない

DMMのFusionSolar向け公式ガイドでは、停電用のバックアップ容量と蓄電池の充放電上下限を別の設定として説明しています。DMMの製品でも、機種・パワーコンディショナ・アプリの版によって画面や設定範囲が異なります。この記事の操作例は、FusionSolarを使う構成についての説明です。

出典:DMMエナジー「お客様向け導入ガイド」2-5・2-6(10ページ)。

「20%残っている」と「20%まで使える」は違う

現在の残量が20%でも、放電終了SOCが同じ20%なら、そこからさらに放電できるとは考えられません。停電用に残す量を決める際は、バックアップ容量だけでなく、自立運転でどこまで放電できるかも確認する必要があります。

我が家の20%運用|実機画面で確認できた設定

20.0は、電力会社からの充電を止める値

保存したFusionSolarの画面には、TOUモード、放電スケジュール00:01〜23:59・毎日、太陽光発電の余剰電力優先順位「充電」、ACから充電「有効」、電力系統充電停止SOC「20.0」が表示されています。

つまり、画面の20.0は電力会社からどこまで充電するかを決める項目です。太陽光の余剰を充電する設定とは別であり、「蓄電池は20%までしか充電しない」という意味でもありません。また、AC充電が有効という表示だけでは、毎晩どの時刻にどれだけ充電したかまでは分かりません。

この画面で確認できる20%を、放電の下限や停電用の確保量として紹介すると、設定の意味が変わってしまいます。我が家の運用例を参考にする際も、数字だけを写さず、画面の項目名を合わせてください。

FusionSolarの電力系統充電停止SOC20.0、ACから充電は有効、余剰電力の優先順位は充電
我が家の保存画面。20.0は電力系統充電停止SOCで、停電用の残量を示す設定ではありません。

20%にしただけで、電気代や停電対策が決まるわけではない

系統からの充電を少なめにすれば、翌日の太陽光を受け入れる空きを残しやすくなります。一方、発電が少ない日は、必要な時間帯に残量が足りず買電する可能性があります。多く充電する場合も、充電時の電気代、翌日の余剰、充放電の損失を含めて判断する必要があります。

我が家はTOUの時間帯と余剰充電を組み合わせて運用していますが、20%と別の設定値を同条件で比較した実験は行っていません。20%を全家庭への最適値とは位置づけず、DMM蓄電池のTOU・余剰充電の運用方法と合わせて、家庭の電気の使い方に照らして考えています。

255日間の記録から見る、SOC設定と買電量の関係

発電と消費が変われば、買電も変わる

設定を評価するときは、買電量だけでなく発電量と家全体の消費量を並べて見ます。次の数値は、我が家のアプリの月間実績です。日ごとの記録を足し直した値ではありません。

2026年 発電量 家全体の消費量 買電量
5月 608.96 377.02 72.06
8月 442.56 532.65 140.41
9月 243.78 437.02 212.78

9月は8月より消費が少ない一方、買電は増えました。発電量が442.56kWhから243.78kWhへ減っているためです。蓄電池は電気をためて使う時刻を移せますが、発電不足そのものを埋める設備ではありません。

2026年5月・8月・9月の月間発電量・消費量・買電量を共通尺度で比較
アプリ月間実績。SOCの設定値だけを変えた比較実験ではありません。

直近の晴れの日と雨の日も、消費が同程度で買電は違った

日付・記録上の天気 発電量 消費量 買電量
10月23日・晴れ 14.41 12.40 2.26
10月24日・雨 2.04 12.35 5.73
2026年10月23日の実画面。発電14.41kWh、消費12.40kWh、買電2.26kWhとSOC推移
2026年10月23日・記録上の天気は晴れ。元画面の数値とSOC推移を保持。
2026年10月24日の実画面。発電2.04kWh、消費12.35kWh、買電5.73kWhとSOC推移
2026年10月24日・記録上の天気は雨。前日の持ち越し残量等も異なるため、天気だけの効果とは断定できません。

家全体の消費量はほぼ同じでも、24日は発電が少なく、買電が多くなりました。ただし、前日から持ち越した残量や使った時間帯も異なるため、晴雨だけによる差やSOC設定の効果とは断定できません。

設定変更後は、朝・夕方・就寝前の残量と、その前後の充放電・買電の動きを確認すると判断しやすくなります。日々の記録は我が家の太陽光・蓄電池の実測データで公開しています。

停電に備えるSOCは何%?家電と必要時間から考える

先に、使いたい家電を絞る

停電時に必要な残量は、世帯人数だけでは決まりません。照明・通信機器・スマホ充電を優先するのか、冷蔵庫や暖房も使いたいのかで必要量が変わります。まず家電の消費電力と使う時間を整理し、自宅の蓄電システムで停電中に使える回路・出力・電圧も確認してください。

必要な電力量の基本計算は、消費電力(W)×使用時間(h)÷1,000=電力量(kWh)です。例えば合計150Wを8時間使う想定なら1.2kWh。これは一定の負荷を置いた試算で、我が家の停電中の実測ではありません。

10kWhの20%=2kWhでも、使える電力量は別に考える

容量10kWhに残量20%を掛けると2kWhです。しかし、実際には放電終了SOC、容量の低下、電力変換の損失、機器自身の消費などがあるため、この2kWhをそのまま家電へ送れるとは限りません。

残量割合 10kWh×割合の計算値
10% 1.0kWh
20% 2.0kWh
30% 3.0kWh
50% 5.0kWh

表は残量を理解するための計算で、非常時の利用可能容量や推奨設定を示すものではありません。例えばバックアップ容量20%・放電終了SOC10%という仮の条件では、両者の差は10ポイントです。容量10kWhに単純に掛けた差分は1kWhで、20%分の2kWhすべてを使う計算にはなりません。この設定の組み合わせが使えるかは機種で確認します。

容量10kWh、バックアップ20%、放電終了10%という仮の条件の差分は計算上1kWh
機種で成立条件を確認する仮の計算。実際の供給量は損失や容量低下などで変わります。

「20%で一晩もつ」と断定しない

仮に家電へ供給できる電力量が1kWhで、合計負荷を一定の150Wと置くと、1,000Wh÷150W=約6.7時間です。実際の冷蔵庫などは消費電力が変動し、起動時の電力もあるため、稼働時間はこの値どおりにはなりません。

残量の割合だけで「一晩安心」と判断せず、使える電力量と機器の出力制限を確認してください。停電時に使える家電や回路の違いは、全負荷型と特定負荷型の違いでも整理しています。

必要量は150Wを8時間で1.2kWh。供給できる量を1kWhと仮定した場合は150Wで約6.7時間
必要量と稼働時間は別々の仮定による試算です。停電中の実測や保証値ではありません。

通常時の節約と、停電用の残量のバランスを取る

バックアップ容量を多く確保すると、通常時に使える範囲が小さくなり、買電が増える場合があります。逆に通常時の利用を優先しすぎると、停電が始まった時点の備えが少なくなります。

長時間の停電が心配なときは、必要な家電と時間を再確認し、説明書に沿ったバックアップ設定や充電方法を施工店に確認します。バックアップの数値を上げても、すぐにその量まで充電されるとは限らないため、実際の残量も合わせて確認することが大切です。

FusionSolarでSOC設定を確認する手順

設定を記録し、目的別にSOC各項目を確認して、保存後に値と翌日以降の動作を照合する
確認順の目安。機種・アプリの版・利用者の権限によって操作範囲が異なります。

1.変更前に機器名と設定値を記録する

まずFusionSolarの「装置」などからデバイス管理画面を開き、PCSと蓄電池を確認します。現在のモード、充放電のスケジュール、SOC各項目をスクリーンショットやメモで残してください。施工時の値を控えておくと、変更後の動きを照合しやすくなります。

2.バックアップ容量と放電終了SOCを別々に開く

DMM公式ガイドの操作例は次のとおりです。アプリの版や機器構成によって、メニューの名称・表示順は変わる場合があります。

  1. 停電用の確保量:デバイス管理でPCSを選び、右上メニューから「パラメーターの設定」へ進み、バックアップ容量SOCを確認する。
  2. 充放電の上下限:PCSからBatteryへ進み、右上のメニューで充電終了容量・放電終了容量などを確認する。
  3. 系統からの充電:電力会社からの充電の有効・無効と、充電終了容量を確認する。我が家の保存画面では「電力系統充電停止SOC」と表示されている。

出典:DMMエナジー「お客様向け導入ガイド」2-4〜2-6(9〜10ページ)。

操作できる範囲は利用者の権限によっても異なります。項目が見つからない場合や、設定の意味が判断できない場合は、施工店へ機種名と画面の項目名を伝えて確認してください。

3.保存後は設定値と実際の動きを確認する

  1. 変更する目的を、系統充電量の調整か、停電への備えかに分ける。
  2. 説明書と施工店の案内を確認し、必要な項目だけ変更する。
  3. 確定・保存後に同じ画面を開き直し、設定値が残っているか確認する。
  4. 翌日以降、発電・消費・買電と残量の推移を見て、意図した動作か確かめる。

DMM公式ガイドでは、充電終了容量は通常100%から変更しないよう案内されています。メンテナンス用の項目もあるため、設定画面の数値を一律に20%へそろえないでください。

SOC設定でよくある疑問

20%に設定したのに買電するのは故障?

SOC設定だけでは故障と判断できません。まず、20%にした項目、実際の残量、放電スケジュール、消費電力と蓄電池の出力を確認します。放電を止める条件に達した場合や、家全体の負荷を賄えない場合には、系統から電気を買うことがあります。エラー表示が出る場合は、表示内容を控えて施工店へ相談してください。

電力系統充電停止SOCが20%なら、太陽光でも20%で充電が止まる?

同じ意味ではありません。この項目は電力会社からの充電の終了値です。太陽光による充電は、余剰電力の優先先や充電終了SOCなどの条件も関係します。

残量を0%まで使えば、いちばん節約できる?

停電への備えを含めれば、下限を小さくすることだけが正解ではありません。設定可能な範囲や保護動作も機種で異なります。必要なバックアップ量を決めた上で、契約の料金条件と充放電の動きを確認してください。寿命や容量低下との違いは、蓄電池の寿命・容量低下と保証の確認ポイントを参考にしてください。

10kWhなら、家族4人でも20%で十分?

人数と容量だけでは判断できません。同じ4人家族でも、停電中に使う冷暖房や家電、必要な時間が違います。我が家の20%は系統充電の設定例なので、そのまま停電用の推奨値として使わないでください。

まとめ|SOCは項目名・必要な電力量・実際の残量で判断する

我が家の月間買電は5月72.06kWh、9月212.78kWhでした。設定の数字だけで結果を決めず、季節や暮らし方に合わせて見直すことが大切です。導入後の使い心地や注意点は、DMM蓄電池10kWhを使った実測レビューにまとめています。