夏の蒸し暑い日に帰宅した瞬間のがっかり感、冬の朝に布団から出るのが億劫になるほどの寒さ、そして留守番中の大切なペットや植物のための温度管理。これらは多くの方が抱えるエアコンに関する悩みではないでしょうか。SwitchBot(スイッチボット)は、そんな日常のちょっとした不便を解消し、ご自宅のエアコンをスマート化できる画期的なデバイスです。
しかし、「設定方法が複雑そう」「購入したけどうまく動かない」といった声も聞かれます。せっかく便利な生活を期待して導入したのに、思い通りに機能しなければ意味がありません。
この記事では、スイッチボットエアコン設定の基本的な方法から、多くの方がつまずきがちなトラブルの解決策まで、どこよりも詳しく、そして分かりやすく網羅的に解説します。まずは対応機種一覧の確認方法から始め、エアコンの基本的な自動設定方法、さらには上級者向けのカスタムモードでのボタン追加手順まで、ステップ・バイ・ステップでご案内します。冷房暖房切り替えのスマートな操作や、特に冬の季節に役立つ暖房の自動設定についても深く掘り下げますので、一年を通して無駄なく快適な室温管理が実現できるでしょう。
さらに、後半ではスイッチボットエアコン設定のトラブル解決策に焦点を当てます。「なぜか設定ができない…」その原因究明から、「そもそも自宅のエアコンが対応してない?」という根本的な疑問、そして「暖房のはずが冷房になる」といった具体的な誤作動の対処法まで、あらゆる問題に対応します。アプリから温度変更できない場合のチェックポイントや、センサーの温度がずれる問題の改善策もご紹介。最後に、スイッチボットエアコン設定の欠点は何ですか?という問いにも誠実にお答えし、メリットとデメリットの両方を理解した上で、あなたの生活に最適な活用法を見つけるお手伝いをします。
- SwitchBotを使ったエアコン設定の具体的な手順
- 設定がうまくいかない時の原因と丁寧な対処法
- より便利に使うための自動化機能の活用術
- 対応機種の確認方法と設置に関する注意点
スイッチボットエアコン設定の基本的な方法
- まずは対応機種一覧を確認しよう
- エアコンの基本的な自動設定方法
- カスタムモードでのボタン追加手順
- 冷房暖房切り替えの操作について
- 冬の季節に役立つ暖房の設定
まずは対応機種一覧を確認しよう

SwitchBotハブシリーズ(ハブミニやハブ2など)を使ってエアコンをスマート化する旅は、ご自宅のエアコンが対応しているかを確認することから始まります。結論から言えば、赤外線(IR)方式のリモコンで操作するエアコンであれば、国内外のほとんどのメーカー・機種に対応しています。
SwitchBotの強みは、クラウド上に8万種類以上にも及ぶ膨大な赤外線コードのデータベースを保有している点にあります。そのため、明確な「対応機種一覧」リストが公開されていなくても、後述する「スマートラーニング」機能によって、お持ちのリモコンが自動的に認識される可能性が非常に高いのです。
ただし、注意すべきはリモコンの通信方式です。現在、家庭用エアコンのリモコンには主に以下の方式があります。
通信方式 | 特徴 | SwitchBotハブ対応 |
---|---|---|
赤外線(IR) | 最も一般的な方式。リモコンの先端にLEDライトのような送信部がある。指向性があり、送信部をエアコン本体に向ける必要がある。 | 〇 対応 |
Bluetooth | スマートフォンとイヤホンの接続などでおなじみの無線通信。指向性がなく、壁越しでも操作できる場合がある。 | × 非対応 |
無線LAN(Wi-Fi) | エアコン本体が直接Wi-Fiに接続し、メーカー専用アプリで操作するタイプ。リモコン自体も無線通信を行う。 | × 非対応 |
ご自宅のリモコンがどの方式か分からない場合は、簡単に判別する方法があります。スマートフォンのカメラを起動し、インカメラ(自撮り用カメラ)でリモコンの送信部を写しながら、いずれかのボタンを押してみてください。カメラの画面上で送信部が紫色などにピカッと光れば、それは赤外線リモコンです。(※一部のスマートフォンのアウトカメラには赤外線カットフィルターが搭載されており、光が見えない場合があります。)
もし光らない場合は、Bluetoothや無線LAN方式の可能性が高く、その場合は残念ながらSwitchBotハブの赤外線機能では操作できません。
エアコンの基本的な自動設定方法
ご自宅のエアコンが赤外線リモコン対応であることを確認できたら、いよいよ設定です。最も簡単で迅速な方法は「スマートラーニング」(リモコンの自動学習)と呼ばれる機能を利用することです。これは、あなたがリモコンのボタンを一度押すだけで、SwitchBotがその赤外線信号を分析し、クラウド上の膨大なデータベースから最適なリモコンのテンプレートを自動的に見つけ出してくれる、非常に優れた機能です。
具体的な設定手順は、以下の通りです。
- SwitchBotアプリの起動とハブの選択: まず、スマートフォンでSwitchBotアプリを開き、ホーム画面に表示されているデバイスリストから、設定に使用するハブ(例:「寝室ハブミニ」)を選択します。
- リモコンの追加: ハブの管理画面で「リモコンを追加」ボタンをタップし、表示される家電リストの中から「エアコン」を選択します。
- スマートラーニングの開始: 「スマートラーニング」または「リモコンの自動学習」といった項目をタップして、学習プロセスを開始します。
- 赤外線信号の送信: アプリの画面に「リモコンのボタンを押してください」という趣旨の指示が表示されます。この指示が出たら、お手持ちのエアコンのリモコンをSwitchBotハブ本体の正面、約20~30cmの距離に向けて、電源ボタンなどのいずれかのボタンを「ピッ」と音が鳴るまで一度だけ押します。
- 候補のテストと選択: 信号が正常に読み込まれると、アプリがデータベースを検索し、一致する可能性のあるリモコンのテンプレートを複数候補として表示します。各候補の横にある「テスト」をタップすると、実際のリモコンのような操作画面が現れます。この画面で「電源オン/オフ」や「温度変更」などのボタンを操作し、ご自宅のエアコンが正しく反応するかを一つずつ確認してください。
- 保存と命名: エアコンが意図通りに動作する正しいテンプレートが見つかったら、「保存」をタップします。最後に、リモコンに「リビングのエアコン」など、分かりやすい名前を付ければ全ての設定は完了です。
スマートラーニングがうまくいかない場合、リモコンとハブの位置関係が原因かもしれません。学習時は、リモコンの赤外線送信部がハブ本体の正面にしっかりと向いていることを確認してください。また、リモコンの電池が消耗していると信号が弱くなり、正常に認識されないことがあります。心当たりがある場合は、新しい電池に交換してから再度試すことをお勧めします。
この手順に沿って進めれば、多くの場合、わずか数分で設定は完了します。完了後は、あなたのスマートフォンがエアコンの多機能リモコンに早変わりし、どこからでも操作できるようになります。
カスタムモードでのボタン追加手順

スマートラーニングを試しても適切なリモコンが見つからない、あるいは、電源や温度調整は機能するものの、風量設定やスイングなど一部のボタンだけが反応しない。そんな場合に頼りになるのが「カスタマイズ」モード(手動学習)です。このモードは、リモコンの各ボタンが発する赤外線信号を、一つひとつ丁寧にSwitchBotハブに記憶させていく、いわば「手作りのリモコン」を作成する機能です。
この作業を始める前に、エアコンリモコンの信号の特性を理解しておくとスムーズです。テレビのリモコンが「音量を上げる」という単一の命令を送るのに対し、エアコンのリモコンは「現在の設定(冷房・25度・風量自動・スイングオンなど)で運転せよ」という、全ての状態をパッケージにして一度に送信します。
この特性のため、カスタマイズモードでの学習は少し根気が必要です。例えば、「冷房25度」の信号を学習させる手順は以下のようになります。
- SwitchBotアプリで「カスタマイズ」モードを選択し、学習させたいボタン(例:「冷房25℃」)をタップします。
- 手元にある物理リモコンを操作して、液晶画面の表示が「冷房」「25℃」になっていることを確認します。
- アプリの指示に従い、その状態のリモコンをハブに向けて信号を送信(いずれかのボタンを押す)し、学習させます。
- 次に、「冷房26℃」を学習させる場合は、物理リモコンを「26℃」に変更してから、同様にアプリで学習プロセスを繰り返します。
これを「暖房」「除湿」などの各モード、そして自分がよく使う温度設定の組み合わせごとに地道に繰り返していきます。「電源オフ」のボタンも忘れずに学習させましょう。
時間はかかりますが、この方法の最大のメリットは、データベースに登録されていないようなマイナーな機種や特殊な機能を持つエアコンでも、赤外線方式である限り、ほぼ100%対応させられる点です。スマートラーニングで挫折してしまった場合でも、このカスタムモードが強力な解決策となります。
冷房暖房切り替えの操作について

SwitchBotアプリにエアコンを登録すれば、その操作は驚くほど直感的になります。スマートフォンの画面に表示されるインターフェースは、実際のリモコンのデザインを踏襲しており、冷房、暖房、除湿、自動といった運転モードの切り替えもアイコンをタップするだけ。指先のスライドで簡単に温度設定を変更できます。
しかし、SwitchBotの真価は、単なるリモコンの代替にとどまりません。「シーン」や「オートメーション」といった自動化機能を駆使することで、エアコン操作を次のレベルへと引き上げることができます。
例えば、以下のような「シーン」を作成しておくことが可能です。
- 「行ってきます」シーン: 家中のエアコンと照明をすべてオフにし、テレビの電源も切る。
- 「おやすみ」シーン: 寝室のエアコンを26℃の冷房・おやすみモードに設定し、3時間後に自動でオフになるタイマーをセット。同時に寝室の照明を消す。
これらのシーンは、アプリのボタンをワンタップするだけで実行できるほか、SwitchBotリモートボタン(別売)に割り当てたり、音声アシスタント(アレクサやGoogleアシスタント)に「アレクサ、おやすみ」と話しかけるだけで実行させたりすることもできます。
また、季節の変わり目などに起こりがちな「夏場に間違って暖房をつけてしまった」といった誤操作を防ぐための高度なテクニックもあります。前述の「カスタマイズ」モードを応用し、あえて「冷房機能しか学習させないリモコン(名前:夏のエアコン)」と、「暖房機能しか学習させないリモコン(名前:冬のエアコン)」を別々に作成するのです。こうすることで、オートメーションを設定する際に「『夏のエアコン』をオンにする」と指定すれば、絶対に暖房が作動することはなくなり、より確実で安心な運用が実現します。
冬の季節に役立つ暖房の設定

冬の厳しい寒さの中、SwitchBotの暖房設定と自動化機能は、私たちの生活を格段に快適で経済的なものに変えてくれます。特に、高精度な温湿度センサーを搭載したSwitchBotハブ2を活用すれば、きめ細やかな室温管理が自動で行えます。
経済産業省 資源エネルギー庁は、無理のない省エネへの取り組みとして、冬の暖房時の室温目安を20℃としています。(出典:資源エネルギー庁「無理のない省エネ節約」)この数値を参考に、以下のようなインテリジェントなオートメーションを組むことが可能です。
- 起床アシスト:
- 条件:毎日午前6時30分になったら
- 実行:寝室のエアコンの暖房を20℃でオンにする
- 室温キープ:
- 条件:室内の温度が18℃以下になったら
- 実行:リビングのエアコンの暖房を20℃でオンにする
- 無駄防止:
- 条件:室内の温度が22℃以上になったら
- 実行:リビングのエアコンの暖房をオフにする
- 帰宅ウェルカム:
- 条件:GPS(位置情報)が自宅から半径500mのエリアに入ったら
- 実行:リビングのエアコンの暖房を20℃でオンにする
これらの設定により、寒い朝に自動で部屋を暖めて快適な目覚めをサポートしたり、日中の室温低下を感知して自動で暖房を入れたり、逆に部屋が暖まりすぎるのを防いで無駄な電力消費を抑えたりすることができます。特にGPSと連携させた「ジオフェンス機能」は、寒い屋外から帰宅した瞬間に暖かい我が家が迎えてくれるという、まさにスマートホームならではの体験を提供してくれます。
このように、SwitchBotを使えば、ただ暖房をつけるだけでなく、「必要な時に、必要なだけ、自動で」暖房をコントロールし、快適性と省エネを両立した冬の暮らしが実現するのです。
スイッチボットエアコン設定のトラブル解決策
- なぜか設定ができないときの原因
- そもそもエアコンが対応してない?
- 暖房のはずが冷房になるときの対処法
- アプリから温度変更できない場合
- センサーの温度がずれる問題の改善策
- スイッチボットエアコン設定の欠点は何ですか?
なぜか設定ができないときの原因

SwitchBotのエアコン設定は非常にシンプルに行えるように設計されていますが、時として予期せぬトラブルで設定がうまくいかないこともあります。しかし、慌てる必要はありません。多くの場合、原因は基本的なネットワーク環境や物理的な配置にあります。以下のチェックリストを参考に、一つずつ確認していきましょう。
症状 | 考えられる主な原因 | 対処法 |
---|---|---|
ハブがアプリに追加できない | Wi-Fiの周波数帯が違う (5GHz帯に接続している) | スマートフォンのWi-Fi接続先を2.4GHz帯のSSIDに変更してから再度試す。 |
スマートラーニングが失敗する | ①リモコンとハブの距離・角度が不適切 ②リモコンの電池切れ ③赤外線信号の干渉 |
①リモコンをハブの正面約20cmに向けて再試行する。 ②リモコンの電池を新品に交換する。 ③直射日光や強い照明がハブに当たらない場所で試す。 |
設定は完了したが操作できない | ①ハブとエアコン本体の距離・障害物 ②Wi-Fi接続の不安定 |
①ハブをエアコン本体が見通せる、障害物のない場所に移動させる。 ②ハブをWi-Fiルーターの近くに移動させるか、Wi-Fi中継器を導入する。 |
時々オフラインになる | Wi-Fi電波が弱い、または不安定 | ハブの設置場所をWi-Fiルーターに近づける。または、より安定した通信が期待できるメッシュWi-Fiの導入を検討する。 |
少し高度なネットワーク設定の確認
一般的な原因のほかに、ご家庭のルーターで少し高度なセキュリティ設定を行っている場合、それが原因で接続できないケースもあります。
- SSIDステルス機能: Wi-Fiのネットワーク名を隠す機能です。これが有効になっていると、ハブがWi-Fiを見つけられない場合があります。一時的に無効にして設定を試してください。
- MACアドレスフィルタリング: 登録した機器しかWi-Fiに接続できないようにする機能です。これが有効な場合は、SwitchBotハブのMACアドレス(本体や箱に記載)をルーターに許可リストとして登録する必要があります。
これらの基本的な項目を確認・対処することで、ほとんどの設定トラブルは解決に向かうはずです。それでも問題が解決しない場合は、アプリやファームウェアが最新版であるかも合わせて確認しましょう。
そもそもエアコンが対応してない?

様々なトラブルシューティングを試しても一向に設定ができない場合、「もしかして、うちのエアコンは対応していないのでは?」という不安がよぎるかもしれません。その可能性は低いものの、ゼロではありません。
繰り返しになりますが、SwitchBotハブが対応しているのは赤外線(IR)方式のリモコンのみです。ごく一部の最新・高級モデルのエアコンでは、以下のような赤外線以外の通信方式が採用されていることがあります。
- Bluetoothリモコン: 壁越しでも操作できる利便性から、一部のメーカーで採用されています。
- 無線LAN(Wi-Fi)内蔵エアコン: エアコン自体がWi-Fi機能を持ち、メーカー独自のスマートフォンアプリで操作するタイプです。この場合、付属のリモコンも特殊な無線通信方式であることが多いです。
これらの非対応機種だった場合、残念ながらSwitchBotハブで直接操作することはできません。ただし、そのエアコンが「Matter」規格に対応している場合、Matter対応のSwitchBotハブ2を介して連携できる可能性は残されています。
どうしても原因が特定できない、あるいは自分の機種が対応しているか確信が持てない場合は、最終手段としてSwitchBotの公式サポートに問い合わせることをお勧めします。SwitchBotアプリ内の「プロフィール」→「ヘルプとフィードバック」→「フィードバック」から、問題の詳細や使用しているエアコンの型番などを送信できます。専門のスタッフが状況を分析し、個別の解決策を提示してくれるでしょう。
諦めてしまう前に、一度専門家の助けを借りてみるのも賢明な選択です。
暖房のはずが冷房になるときの対処法

「冬の朝、暖房がつくように設定したのに、なぜか冷たい風が出てきた…」これは、SwitchBotとエアコンの状態認識に「ズレ」が生じることで発生する、代表的なトラブルの一つです。
この現象の根本原因は、多くのエアコンリモコンが持つ「状態一括送信」という仕組みにあります。例えば、あなたが物理リモコンで電源ボタンを押したとき、リモコンは「電源をONにせよ」という単純な命令ではなく、「最後に記憶している設定(例えば冷房27℃)で電源をONにせよ」という全ての情報をパッケージ化して送信します。エアコン本体には、現在どのモードで運転しているかを外部に伝える機能がないため、SwitchBot側は「おそらく今はこの状態だろう」と推測するしかありません。
この「ズレ」は、家族が物理リモコンで操作した後などに発生しやすくなります。例えば、アプリ上が「暖房」モードになっていても、エアコン本体が最後に記憶しているのが「冷房」だった場合、SwitchBotから「電源オン」の信号を送ると、エアコンは記憶している「冷房」で運転を開始してしまうのです。
この厄介な問題を回避し、より確実な操作を実現するための効果的な対策が2つあります。
- 「自動運転」モードを積極的に活用する
多くのエアコンに搭載されている「自動(おまかせ)運転」モードをSwitchBotに登録し、普段はこのモードで操作する方法です。自動運転モードであれば、エアコン自身が内蔵センサーで室温や湿度を判断し、適切に冷房・暖房・除湿を切り替えてくれます。これにより、SwitchBot側が細かくモードを指定する必要がなくなり、状態のズレによる誤作動のリスクを根本から減らすことができます。特に季節の変わり目など、冷暖房のどちらを使うか迷う時期に非常に有効です。 - オートメーションで「念押し」の信号を送信する
オートメーションを設定する際に、一つのアクションだけでなく、少し時間をおいて同じアクションを繰り返すように設定するテクニックです。設定例:
いつ(条件):毎朝6:30になったら
実行:
1. エアコン(暖房20℃)をオン
2. 30秒待機
3. エアコン(暖房20℃)をオン仮に最初の信号でズレが生じても、30秒後の「念押し」信号によって正しい運転モード(この場合は暖房20℃)に上書き・修正される確率が格段に高まります。これは、操作の確実性を最優先したい場合に非常に効果的な手法です。
これらの対策を理解し、ご自身のライフスタイルに合わせて活用することで、エアコンの誤作動ストレスから解放されるでしょう。
アプリから温度変更できない場合

SwitchBotアプリでエアコンの電源オン・オフは問題なくできるのに、なぜか温度を上げ下げするボタンだけが反応しない、というトラブルも比較的よく報告されます。この問題の根本原因は、多くの場合、リモコンの赤外線信号の学習が不完全であることに起因します。
特に、スマートラーニングがうまくいかずに「カスタマイズ」モードで手動設定した場合に発生しやすいです。エアコンリモコンの信号は、電源オン・オフの信号に比べて、温度設定の信号がより複雑で微弱な場合があります。そのため、学習時の些細なことで、信号が正しく記録されないことがあるのです。
- 学習時の環境光ノイズ: 直射日光や明るい蛍光灯の下など、強い赤外線を発する光源がある場所で学習を行うと、その光がノイズとなって信号を正確に読み取れないことがあります。
- ボタンの押し方: ボタンを短く押しすぎたり、逆に長押ししすぎたりすると、信号のパターンが正しく認識されません。「ピッ」と音が鳴る程度の、通常の操作と同じ感覚で押すのがコツです。
- リモコンのチャンネル設定: 特にPanasonic(パナソニック)製のエアコンなど、同じ部屋で複数のエアコンを使い分けるためにリモコンに「チャンネル」や「A/B」の切り替えスイッチが付いている機種があります。学習させるリモコンのチャンネルと、エアコン本体が設定されているチャンネルが合っていないと、一部の操作だけが効かなくなることがあります。
解決策は、原因を取り除いた上で、再度リモコンの学習をやり直すことです。まずは一度SwitchBotアプリから登録済みのエアコンリモコンを削除し、以下のポイントに注意しながら、最初から設定をやり直してみてください。
- 環境を整える: カーテンを閉めるなどして、直射日光がハブに当たらないようにします。
- スマートラーニングから再挑戦: まずは基本のスマートラーニングを試します。多くの場合、これだけで問題が解決することがあります。
- カスタマイズで再学習: スマートラーニングでも改善しない場合は、カスタマイズモードで温度変更ボタン(例:+ボタンと-ボタン)を重点的に、そして丁寧に再学習させます。
少し手間に感じるかもしれませんが、正確な学習こそが快適な操作への一番の近道です。
センサーの温度がずれる問題の改善策

「アプリの表示は25℃なのに、部屋にある別の温度計は23℃を指している…」SwitchBotハブに内蔵されている温度センサーと、実際の室温との間にずれが生じることは、デバイスの特性上起こり得ます。この主な原因は、ハブ本体がWi-Fi通信などを行う際に発生する微量の熱です。この内部からの熱が内蔵センサーに影響を与え、実際の室温よりも少し高めの数値が表示される傾向があります。
この温度のずれは、オートメーションの精度に直接影響するため、できるだけ補正しておくことが望ましいです。改善策は、物理的な対策とシステム的な対策の二段階で考えることができます。
第一段階:設置場所の最適化
まず最も重要なのが、ハブを適切な場所に設置することです。以下の場所はセンサーの誤差を大きくする可能性があるため、避けるべきです。
- 直射日光が当たる窓際や、西日が差し込む壁際
- テレビ、ルーター、PCなど、他の発熱する電子機器の上や密集した場所
- エアコンの吹き出し口の真下など、風が直接当たる場所
- 床の近くや部屋の隅など、空気がよどみやすい場所
理想的なのは、部屋全体の平均的な温度がわかる、床から1m~1.5m程度の高さの壁や棚の上です。
なお、最新モデルであるSwitchBotハブ2は、この問題を解決するために、温度センサーが本体から分離され、USB電源ケーブルの途中に内蔵されています。この設計により、本体の発熱の影響をほとんど受けなくなり、旧モデル(ハブミニ)と比較して格段に正確な温度測定が可能になりました。
第二段階:アプリの「温度補正」機能の活用
設置場所を最適化してもなお残るわずかな誤差は、SwitchBotアプリの「温度補正」機能で解消できます。信頼できるデジタル温度計などをハブのすぐ横に置き、しばらく時間をおいて両方の温度表示が安定したら、その差をアプリで補正します。
例えば、温度計が24.0℃で、アプリの表示が25.2℃だった場合、アプリの設定画面から「温度補正」を選び、「-1.2℃」と入力します。これにより、アプリは常にセンサーが測定した値から1.2℃引いた数値を表示するようになり、極めて正確な室温管理が実現します。
正確な温度把握は、快適な空間作りはもちろん、無駄な冷暖房を防ぐことによる省エネ、そしてペットや観葉植物の健康管理においても非常に重要な要素となります。
スイッチボットエアコン設定の欠点は何ですか?
この記事ではSwitchBotを使ったエアコン設定の利便性とトラブル解決策を解説してきましたが、最後に全体を総括する意味で、客観的な視点からその「欠点」や「注意すべき点」を整理します。これらを理解した上で活用することで、より満足度の高いスマートホーム体験が得られるでしょう。
- SwitchBotは赤外線リモコンを持つ既存エアコンを安価にスマート化できる後付け機器です
- 設定の基本は「スマートラーNING」で、多くの機種で簡単かつ迅速に自動登録が完了します
- 自動登録が失敗しても「カスタマイズ」モードで手動設定すれば、ほぼ全ての機種に対応可能です
- 対応機種は非常に多いですが、BluetoothやWi-Fiリモコンなど赤外線以外は非対応です
- ハブ本体は2.4GHz帯のWi-Fiにのみ対応しているため、ルーターの設定確認が初回に必要です
- 赤外線は直進するため、ハブとエアコンの間に家具などの障害物を置かない設置が重要です
- 物理リモコンでの操作はアプリに反映されず、状態がずれて誤作動する可能性があります
- 誤作動を防ぐには、エアコン自身の「自動運転」モードを活用するのが最も効果的な対策です
- 本体の発熱で温度センサーがずれる傾向にありますが、設置場所の工夫やアプリの補正機能で対応できます
- より正確な温度管理を求めるなら、センサーが分離設計されたSwitchBotハブ2が最適です
- 外出先からの遠隔操作や、温湿度・GPSをトリガーにした生活に合わせた自動化は非常に強力です
- Wi-Fi環境が不安定だと反応が遅延したりオフラインになったりするため、安定した通信環境が前提です
- 初期設定やオートメーションの構築は、一部のユーザーには少し複雑に感じられるかもしれません
- しかし、一度設定してしまえば、日々のエアコン操作の手間を大幅に削減し、快適性を向上させます
- これらの特性と上手く付き合うことで、生活の質を確実に向上させる価値ある投資と言えるでしょう